大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和30年(う)532号 判決

被告人 佐藤善八

〔抄 録〕

一、第一点について。

原判決の摘示するところは、被告人が自己の予て世話になつた綾部藤治郎が何騰鯨経営にかかるパチンコ遊技場「第三いこい」の営業妨害をした嫌疑で警察当局に検挙されたことを新聞紙上で知り、そのことにつき右何に示談させようと考え、元海軍用短剣を携えて右遊技場に到り、そこに居合わせた同店支配人林仙船に対し右新聞記事の出たのは右何方より報告したためであろう、右綾部が検挙されたことは知つているであろうなどと尋問したが、林が斯ようなことは知らざる旨答えるや、被告人は憤慨して、やにわに右短剣を振りかざして右林を脅迫し、続いてドアの硝子を損壊する等の挙動に出た旨を判示しているのである。故に、これによれば、被告人は、初め右何に交渉して綾部の刑事所置につき有利な事態の進展を図ろうとして右店舗に赴いたのであるが、実際は、そこにいた前記林の言動により早くも感情を害して直ちに右のような脅迫や器物損壊に至つた被告人の意思および之に伴う行動の経過は自ら明白である。而して暴力行為等処罰に関する法律第一条第一項所定の兇器による脅迫や器物損壊の罪となるべき事実の判示としては、之を以て十分であり、原判示は以上の事実につき審理を遂げた上なされたものなることも記録上明らかである。

故に、原判決については所論のような審理不尽や理由不備の点あるものではない。論旨は理由がない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!